ママにゃーのブログ

一型糖尿病の主婦の日記

18 吸入型インスリン薬・治験中止の理由は…?

こんにちは、一型糖尿病の主婦、ママにゃーです。

以前、『12 治験参加のススメ』という記事
にも書いたのですが、今から10年ほど前、
『ヒトインスリン粉末吸入薬』の治験に
参加させて頂きました。
それは注射薬ではなく、喘息のお薬や、
一部のインフルエンザ特効薬のように、
吸い込んで使うインスリンの治験でした。
当時の私は、外食の際、食前注射をする時に、
毎回お手洗いへ行かなくてはいけない事に
ストレスを感じておりました。
そんなワタクシにとって、吸入インスリン
福音でありました。

幸い今は、人はそれほど他人を気にしてはいないことも理解して、
ささっとテーブルの陰で、平気で注射できるようになりましたが。

しかし、その約1年間の治験期間終了後に知らされたのは、
インスリン吸入薬の、開発中止でした。

残念!
担当の先生のご厚意と、あんなに丁寧な製薬会社の調査と、
担当コーディネーターさんの丁重な対応の
結果が、
無かったことになってしまうなんて、
残念過ぎる…

もしやこれは、何か陰謀的な???
注射薬を販売している製薬会社の、
利権を守るための陰謀では?!
それとも、扱いの簡便な吸入薬が
悪用されることを憂慮した
保安機関の干渉が?!

などと、その後 数年の時間をかけて、私の頭の中には、
徐々に経済ミステリー小説のような筋書きが
作り上げられておりました。

ところが!
前回の『患者会』でこの積年の疑問を、問いかける事の出来る
格好のお相手と出会えたのです!
それは患者会の立食パーティーで、スピーチに立った
インスリン製薬メーカーの社員さんでした。
…そのカナダ人の男性が、通訳さんを伴って、いらしていたのです!

ワタクシの理解が正しかったならば、
その社員さんは、
『我が社は、いずれ糖尿病を根絶する薬を作ります!!』
といったスピーチを、なさっていたようでした。
何というか…IPS細胞的な?
そんな感じの、大層難しいお話をなさっておりました。

患者会に集まった皆さんも、若干ふわっとした反応で、
『すごい話ですね!えっと、今のはつまり…?』
みたいに、お互いの理解を確認しあっていらっしゃる様子でした。

ワタクシと言えば、スピーチの理解度は
約2割、
話の内容よりむしろ、大和撫子の雰囲気を身にまとった、
女優の木村多江さん似の通訳さんに、目を奪われておりました。

その後しばらく、そのお二人を垣間見ておりましたところ、
次々に質問をする患者さん方や、ドクターの皆さま達と、楽し気に
歓談なさっていらっしゃいました。

心に『質問…してみたい!』という思いをふつふつとたぎらせながら、
きっかけを窺っていたところ、
以前の患者会で、糖尿病患者が血糖コントロールの方法を
学ぶキャンプに、アメリカで参加した体験をシェアしてくれた
顔見知りの患者さんが目に入りました!

『さっきのスピーチの意味、分かりましたか?』と話しかけると、
『質問してみたいですか?』という親切なお言葉を頂戴できました!
そして2人で、木村多江さん似の通訳さんに、駆け寄ってお伺いしました。

デンマークの製薬会社のカナダ人社員さんのお答えは
『他社が、アメリカでインスリンの吸入薬を売り出したが、
誰も欲しがらなかった。』との事でした。

えぇ~!???信じられない!と言う私に、
『吸入薬は、同じ効果を得るために、注射薬の何倍もの量が
必要となるので、とても薬価が高くなる』
と分かりやすく、ご説明下さいました。

なるほど!経済的な理由だったのか!
と長年の疑問は氷解し、
ストンと納得することができました。
そっか、お高くなっちゃうのか…


ママにゃー、世界を動かしているのは、陰謀じゃない。
お金。お金なんだね…